2016年12月06日
東大と米大チーム、B型インフルウイルス作出成功
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:なし

科学技術振興機構(JST)は6日、東京大学と米国ウィスコンシン大学の共同研究グループが、培養細胞で高い増殖能を持つB型インフルエンザウイルスの開発に成功したと発表した。同グループがこれまでに開発したA型インフルエンザウイルス株と今回開発したB型株をワクチン製造に利用することで、季節性インフルエンザワクチンを効率よく生産することが可能になる。

現行の季節性インフルエンザワクチンは、発育鶏卵で増やしたウイルスから製造されているが、その増殖過程でウイルスの主要抗原であるヘマグチニン(HA)に変異が入るとワクチンの有効性が大きく低下することが知られている。抗原変異が起きにくい培養細胞を用いてワクチンを製造することで、この問題を回避することが可能であるが、培養細胞における季節性インフルエンザウイルスの増殖能の低さが大きな問題だった。

今回の研究成果によって、従来の鶏卵ワクチンに比べ高い有効性が期待できる細胞培養ワクチンをより迅速に製造供給することが可能となった。

この成果は、米国科学誌「Proceedings of the National Academy of Sciences」オンライン版で公開された。