2017年04月14日

名大、筒状炭素分子「カーボンナノベルト」世界初合成

【カテゴリー】：新製品/新技術 【関連企業・団体】：名古屋大学

名古屋大学の伊丹健一郎教授（理学研究科）らの研究グループは14日、カーボンナノチューブの部分構造を持つ筒状炭素分子「カーボンナノベルト」の合成に世界で初めて成功したと発表した。安価な芳香族パラキシレンを炭素原料にし、11段階で到達した。JST（科学技術振興機構）戦略的創造研究プロジェクトの成果。 「カーボンナノベルト」は60年前に文献に登場して以来世界各国の化学者が合成に挑戦してきた“夢の分子”で、これまでに合成例がない。筒状構造は大きなひずみを持つため合成が困難だった。 名古屋大学の研究グループは、ひずみのない環状分子を筒状構造に変換する方法で、安価なパラキシレンを炭素原料にし、11段階で「カーボンナノベルト」の合成に成功した。さらに各種の分光学的分析によって、合成された「カーボンナノベルト」がカーボンナノチューブと非常に近い構造や性質を持っていることを確認した。 この成果は、単一構造のカーボンナノチューブの合成や新しい機能性材料開発に道を拓くと期待される。 同研究成果は、4月13日（米国東部時間）に米国科学誌「Science」のオンライン版で公開された。