2017年11月27日
住友化学・十倉社長「スペシャリティ分野拡大注力」
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:住友化学
十倉雅和社長

住友化学の十倉雅和社長は27日、事業説明会を開き、持続的成長を支える取り組みとして「次世代事業の早期戦略化」をあげ、「情報・エネルギー」「ICT」「ライフサイエンス」分野の拡充に力を入れると強調した。
まず17年度の業績予想について、売上高22,100億円、営業利益1,850億円、経常利益2,150億円、純利益1,200億円と「“追い風参考”ながら過去最高は固い」としたあと「(当社は)石油化学会社と見られているようだが、セグメント別営業利益はスペシャリティ部門が3/4を占めている」と、情報電子化学や機能性材料、医薬品などのスペシャリティ部門が実質的に稼いでいることを数字をあげて説明した。

「石油化学部門」は日本、シンガポール、サウジアラビア3拠点ともに好調。合計エチレン能力は315万トンで、わが国全体の615万トン(16年末)に対して半分以上のシェアを有する。サウジ・ラービグ計画が本調子となり、シンガポールも高付加価値戦略化を実現したことが大きい。

「エネルギー・機能材料部門」では自動車用LiBセパレータが国内シェア40%と優位を占めているので、今後もこの地位を固める。将来的に生産能力は日本で約1億平方メートル、韓国で3億平方メートル、合わせて4億平方メートルと16年比4倍に拡大する。スーパーエンプラPESも自動車向けの新規用途の開拓が順調なため、千葉工場の生産能力を18年春をめどに増強中だ。完成後生産能力は6000トン/年となる。

「情報電子化学部門」では特に有機EL照明や有機薄膜太陽電池など、次世代事業の柱としてプリンテッド・エレクトロニクスの拡大に注力する。タッチセンサー基材フィルムでトップシェアを維持する。また中国常州に2番目のプロセスケミカル製造拠点を新設する(別掲)。

「健康・農業関連事業部門」ではBASF(新規殺菌剤)、BAYER(ダイズさび病薬)など海外大手農薬メーカーとのアライアンスを拡大するほか、国内ではコメを先端産業化し水稲農家ををサポートする。医薬品部門では、ポストラツーダに向けた取り組みとして、製品パイプラインの強化を図る。バイオテクノロジー分野ではゲノム解読コストの低減・短時間化、ゲノム編集技術の開発など引き続き技術革新に努める。

今後は持続的成長を支える取り組みとして「IoTプロジェクト」導入を推進する。AIやIoTによるICT(情報処理や通信)技術を進化させ、デジタルプラント・マーケティング、グローバルサプライチェーンを構築する。18年度中期計画として全社売上高25,400億円、営業利益2,000億円、純利益1,100億円獲得をめざす。