2018年01月04日
【新春メッセージ】中外製薬 会長 永山 治
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:中外製薬

明けましておめでとうございます。
中期経営計画「IBI 18」の2年目である2017年は、研究開発における複数のマイルストンを達成し、大きな成果を挙げることができました。バイスペシフィック抗体「エミシズマブ」は日米欧3極で同時申請を行い、米国で世界初の承認を11月に取得しました。また、「アレセンサ」の肺癌一次治療における欧米での承認、「アクテムラ」では巨細胞性動脈炎・高安動脈炎(注)に対する承認を日米欧で取得しました。ロシュからの導入品である「アテゾリズマブ」は、本年国内での承認が予定されています。さらに、都道府県単位で高度なソリューション提供をすべく、営業本部・医薬安全性本部・メディカルアフェアーズ本部による3本部連携を図るとともに、36支店制を敷きました。加えて、大阪大学免疫学フロンティア研究センター(IFReC)との包括連携も本格稼働し、将来の成長に向けた基盤強化も進んでいます。

さて、本年は「IBI 18」の最終年であり、その総仕上げに向けて3つの全社重点方針を定めます。
一点目は、「抗体改変技術を活用した革新的プロジェクトの連続創出と中分子創薬技術確立への重要課題解決」です。当社は現在、バイオと低分子という2つの創薬技術で世界のトップレベルにあります。ここに3つ目の柱となる中分子創薬技術を独自に確立し、ポートフォリオ・インのテーマを創製することが、革新的新薬の創出につながると考えています。
二点目は「エミシズマブとアテゾリズマブの確実な開発実行」。昨年に引き続き、最重要成長ドライバーに資源を集中し、「エミシズマブ」と「アテゾリズマブ」の適応追加のための承認申請を完遂させます。そして三点目は「多様化・高度化する顧客ニーズを踏まえたエリア戦略の実践と、新製品の確実な上市および市場浸透」です。国内では、「エミシズマブ」、「アテゾリズマブ」、「オビヌツズマブ」という3つの大型新製品について、早期の市場浸透を目指します。
また、ライフサイエンスとICTを中心とする科学と技術の急速な進歩、日本と世界の人口動態の変化により、社会ならびに製薬業界全体が日々大きく変化していることから、製薬産業はスピードの時代にあると言っても過言ではありません。これらの変化は、当社がさらに飛躍する絶好の機会につながっています。グローバル競争は激しさを増し、創薬においても競争は激化しています。イノベーションとスピードの重要性が増す中、ロシュ、ジェネンテック、中外の3極が協力し、いち早く新薬を創出することは、私たちがトップ製薬企業になるために不可欠です。
今後も、ロシュとのWin-Winのアライアンスをさらに強化するとともに、中外製薬だからこそ創造できる価値を追求し、世界の医療と人々の健康に貢献していく所存です。

(注) 高安動脈炎の承認は日本のみです。

以上