2018年11月02日
東レ、ナノオーダーのバイオ医薬用分離膜開発
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東レ

東レは2日、バイオ医薬品の製造に最適なナノオーダーレベルの細孔制御ができる低ファウリング精密分離膜を開発したと発表した。実際に連続製造プロセスへの応用研究も開始した。同社の血液透析患者用人工腎臓膜技術を生かして開発した。研究の一部は、AMED(日本医療研究開発機構)の「次世代治療・診断実現のための創薬基盤技術開発事業」の助成を受けた。

近年、抗体医薬の市場は急速に拡大しているが、その一方で医療コストが高額なことが課題となっている。今回、同社が開発した低ファウリング精密分離膜は、血液透析患者用の人工腎臓に用いる高透水性中空糸分離膜技術と、血液タンパク質の吸着による膜の目詰まりを起こさせないための表面加工技術を応用して開発した。

細孔制御の最適化により高透水性を維持しつつ、抗体と不純物の分離が可能なことを確認した。さらに、抗体の吸着ロスに対しても計算化学に基づくマテリアルインフォマティクス(MI)を活用することで、抗体付着を抑制する表面加工にめどを得た。これにより、バイオプロセス分離膜へと応用できる見通しをつかんだ。
今後さらに開発を進め、2022年を目標に、分離膜技術を組み込んだ連続量産プロセスへの展開を目指す。