2018年11月12日
富士フィルム開発のリポゾーム剤 がん細胞に作用
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:富士フイルム

富士フイルムは12日、米国で臨床第1相試験を実施中の抗がん剤「FF-10832」について、患部で薬剤が放出され、がん細胞に持続的に作用するメカニズムを解明したと発表した。また、免疫チェックポイント阻害剤との併用投与では、単剤投与の場合と比べて生存期間が延びるなど、高い薬効を発揮することも確認した。いずれもマウス実験で明らかにした。

「FF-10832」は、膵臓がんなどを適応症とする抗がん剤「ゲムシタビン」を独自のリポソームに内包したリポソーム製剤。リポソームとは、細胞膜や生体膜の構成成分である有機物のリン脂質などをカプセル状にした微粒子のことで、体内で必要な量を必要な部位にタイミングよく送達するドラッグ・デリバリー・システム(DDS)技術の一種。抗がん剤には、がん組織以外の正常組織に対しても作用し、強い副作用を起こすケースがあるが、薬剤をリポソーム製剤にすることでがん組織に選択的に送達し、副作用を抑制して、薬効を高めることが期待できる。

同社は、本年5月から米国で「FF-10832」の臨床第I相試験を開始したが、その一方でマウスを使い、患部での薬剤の放出メカニズムや免疫チェックポイント阻害剤との相乗効果について研究を進めてきた。

同社は11月13~16日、アイルランド・ダブリンで開催される世界がん関連学会「第30回 EORTC-NCI-AACR SYMPOSIUM」で同剤の研究成果を発表する。

(注)研究成果の詳しくはニュースリリースにあります。


ニュースリリース
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1541989797.pdf