2018年12月28日
理研、植物由来抗がん剤の仕組みを解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

理化学研究所の岩崎信太郎主任研究員、生命機能科学研究センターの伊藤拓宏ユニットリーダーらの共同研究グループは28日、抗がん作用を持つ植物由来の翻訳阻害剤「ロカグラミドA」の作用分子メカニズムを解明したと発表した。 現在、ロカグラミドAは有効な抗がん剤として研究が進められており、同研究成果により、将来、より効果的な抗がん剤の設計が可能になると期待できる。

「アグライア」と呼ばれる植物由来の小分子化合物ロカグラミドAは、標的である翻訳開始因子に新しいRNA配列特異性を与え、アデニン(A)やグアニン(G)塩基の連続したRNAと結合するタンパク質に変化させる。これにより選択的に翻訳が阻害されることが、ロカグラミドAによる抗がん作用の原因と考えられている。しかし、これまでその作用分子メカニズムは全く分かっていなかった。

今回、共同研究グループは、ロカグラミドAなどの4分子を含む複合体の結晶構造を解明し、ロカグラミドAの結合構造と分子メカニズムを解明した。

本研究は、米国の科学雑誌「Molecular Cell」(2月21日号)の掲載に先立ち、オンライン版(12月27日付:日本時間28日)に掲載される。