2019年04月22日
東レ 環境低負荷と高い撥水性能を両立したテキスタイルを開発
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:東レ
「ナノスリットナイロン」の原糸断面

東レは22日、環境負荷の低い撥水剤を使用しても、高い撥水性能を持つテキスタイル「ナノスリットナイロン」を開発したと発表した。「ナノスリットナイロン」は東レ独自の複合紡糸技術 NANODESIGN(ナノデザイン)により実現した特殊な微細スリットを持つ原糸を使用している。

従来の撥水テキスタイルに使用されていたフッ素系撥水剤は、自然界で分解されにくく、人体への蓄積や自然環境への残留が懸念されるPFOA(パーフルオロオクタン酸)が含まれている。特にスポーツ分野では、PFOAを含まない環境低負荷の撥水剤を用いた素材のニーズがある。同社は、複合紡糸技術 NANODESIGNによる原糸断面の精密制御技術と、ポリマー技術を組み合せることで、環境低負荷な撥水剤を用いた場合でも高い撥水性能を発現する、涙滴型断面の微細なスリットを複数有した原糸の開発に成功した。

同社は、「ナノスリットナイロン」を防水透湿素材 エントラントやダーミザクスをはじめ、各種テキスタイルブランドの素材バリエーションとして、2020年秋冬シーズン向けから展開を開始する。高い撥水性能を活かし、アウトドアやスキー等のアクティブスポーツ向けのアウターから、ファッション性と機能性が求められるアスレジャー用途のアウター、スイムウェア向けなどに販売、販売目標は2020年度に20万m、5年後の2025年度に100万m。

参考:【複合紡糸技術 NANODESIGN】
複数の原料樹脂を極めて多数の微細な流れに一旦分割し、この多数の微細な流れを一気に吐出、合流させる革新的な複合断面形成技術。従来技術では到達できなかったレベルで、複合繊維の断面形態を任意に、かつ高精度に設計することが可能となる。