2019年09月06日
京大、自己免疫疾患の新たな発症メカニズムを解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:京都大学

京都大学医学研究科の佐々木克博講師、岩井一宏教授らの研究グループは6日、マウスを使った実験で、リンパ球(T細胞含む)が炎症を引き起こす新たなメカニズムを明らかにしたと発表した。

同グループが作成したマウスの実験で、皮膚組織に浸潤した僅かな活性化T細胞が生理活性物質TNFαを介して皮膚表皮細胞の細胞死を惹起することで、皮膚の慢性炎症を引き起こす病態機序を初めて明らかにした。

一般に、自己免疫疾患では炎症部位にリンパ球が存在するが、今回発見した新たなタイプの炎症ではリンパ球はほとんど存在せず、むしろ好中球やマクロファージを含む自然免疫の細胞群が多く存在している。これは自然免疫系の過剰な活性化で引き起こされる「自己炎症性疾患」に特徴的なタイプといえる。

本研究成果は、慢性関節リウマチなどの抗TNFα抗体が著効を示す自己免疫疾患の病態形成の解明に繋がる重要な成果となる。また、リンパ球非依存的に発症すると考えられている自己炎症性疾患群の発症要因にT細胞が関与している可能性も示唆している。

本研究成果は、2019年8月28日に、国際学術誌「Nature Communications」のオンライン版に掲載された。