2019年09月11日
富士フィルム、ヒトiPS由来腸管上皮細胞、発売
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:富士フイルム
「F-hiSEC」

富士フイルムは11日、薬物の吸収性評価に最適なヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞「F-hiSIEC」を同日から発売すると発表した。ヒトiPS 細胞を小腸の腸管上皮細胞に分化誘導した創薬支援用細胞で、ヒト生体に近い機能を有しているため、薬物の吸収性を高精度に評価できる特長がある。経口剤開発の効率化に貢献するとしている。

医薬品に使用される経口剤は、その主成分が主に小腸の腸管上皮細胞に取り込まれ、一部は同細胞内の酵素で代謝されて細胞外に排出される。排出されずに残った薬物や代謝物は、血中に吸収され全身に循環する。そのため、腸管上皮細胞の薬物の吸収、代謝の評価は、投与量に応じた有効性と安全性を予測する上で重要となる。

今回発売する「F-hiSIEC」は、同社が持つiPS細胞関連技術と、名古屋市立大学大学院の松永民秀教授(薬学研究科)が確立した腸管上皮細胞への分化誘導技術を組み合わせて開発した。

これまでの研究で(1)腸管上皮細胞の代表的な薬物代謝酵素であるCYP3A4の活性が、正常なヒト生体由来腸管上皮細胞と同等である(2)薬物の腸管上皮細胞内への取り込みや細胞外への排出に関与するトランスポーターの遺伝子発現量が、正常なヒト由来腸管上皮細胞と同等またはそれ以上である、などの成果を得ている。


ニュースリリース参照
https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1568168434.pdf