2019年09月17日
富士フィルム、豪 再生医療ベンチャーと独占契約
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:富士フイルム

富士フイルムは17日、オーストラリアの再生医療ベンチャーCynata Therapeutics Limitedと、同社が開発中の再生医療製品「CYP-001」の開発・製造・販売に関する独占ライセンス契約を締結したと発表した。

「CYP-001」は、他家iPS細胞由来間葉系幹細胞を用いた再生医療製品で、Cynata社は、骨髄移植後に発症する合併症「移植片対宿主病(GvHD)」を対象に企業治験を進めている。

同社は、GvHDを対象とした、「CYP-001」の全世界における独占的な開発・製造・販売権をCynata社から取得した。、まず日本で企業治験を2020年中に開始する計画だ。

再生医療は、アンメットメディカルニーズへの新たな解決策として注目されており、中でも分化万能性と無限増殖性を持つiPS細胞による治療は、多様な細胞を大量に作製できることもあり実用化への期待が高い。

GvHDは、白血病などの治療で骨髄移植を行った後に発症する重篤な合併症で、移植された骨髄由来のリンパ球などの免疫細胞が免疫応答により患者の体を異物として認識し攻撃することで、全身に炎症が起こる。通常、免疫抑制剤などで治療を行うが、約半数で効果が見られず、最悪の場合死に至るアンメットメディカルニーズが高い。

Cynata社は、富士フィルム子会社でiPS細胞の開発・製造を担うFUJIFILM Cellular Dynamics, Inc.(フジフイルム・セルラー・ダイナミクス)が供給したiPS細胞を間葉系幹細胞に分化誘導して「CYP-001」を作製。2017年5月には、iPS細胞を用いた再生医療製品の企業治験では世界初となる「CYP-001」の臨床第1相試験を、GvHDを対象にイギリスおよびオーストラリアで開始した。

富士フィルムは2017年1月、「CYP-001」の開発・製造・販売ライセンス導入などを目的にCynata社へ出資した。
今回、Cynata社が実施した臨床第1相試験で安全性の評価項目が達成され、さらに皮膚の湿疹や消化器官の異常などGvHDの症状が改善される効果がみられたことから、「CYP-001」の開発・製造・販売権の取得を決めた。


<ニュースリリース参照>

オーストラリアの再生医療ベンチャーCynata社と独占ライセンス契約を締結
https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file3_1568704255.pdf

Fujifilm signs an exclusive licensing agreement with Cynata
https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file4_1568704255.pdf