2019年09月18日
東北大と慶大、便秘薬で腎臓病の進行抑制を確認
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東北大学、慶応大学

東北大学大学院の阿部高明教授(医学系)、慶應義塾大学の福田真嗣特任教授(生命科学研究所)らの研究グループは18日、便秘症の治療薬リナクロチドが慢性腎臓病の進行を抑え、心血管疾患のリスクを低下させる効果があることを動物モデルで明らかにしたと発表した。

慢性腎臓病は慢性かつ進行性に腎機能が低下する病気で、最終的に透析が必要な腎不全に至る。また、心血管疾患の発症率や死亡率を高めることで知られている。腸内環境が腎臓病の病状に影響していることも報告され、腸内細菌集団のバランス制御が慢性腎臓病の進行を抑えるために重要であることも明らかとなっている。

今回研究グループは、便秘症治療薬であるリナクロチドが腎不全によって悪化する腸内環境を改善することにより、腸内細菌由来の代謝物質、特にトリメチルアミン-N-オキシドの血中濃度を減少させ、腎臓障害を抑えて心血管疾患のリスクを低下させることをつかんだ。

この研究は、リナクロチドが慢性腎臓病に伴う心血管疾患の治療の一助となる可能性を示す発見で、今後臨床での応用が期待される。

同研究成果は、8月14日に欧州腎臓協会学術誌Nephrology Dialysis Transplantation 電子版に掲載された。