2019年09月19日
東工大など「DNAオリガミ」で人工細胞微小カプセル開発
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東京工業大学

東京工業大学の瀧ノ上正浩准教授(情報理工学院)および東北大学、東京農工大学、東京大学、京都大学の研究グループは18日、「DNAオリガミ」で作製したDNAナノプレートによって細胞膜を模倣した人工細胞としての微小カプセルの開発に世界で初めて成功したと発表した。

人工的な膜に細胞膜のような複雑な機能を持たせるには、性質や機能を自在に設計可能な物質を材料とする必要があった。今回開発した、DNAを膜の材料とする微小カプセルでは、DNAの塩基配列を設計することで膜の機能を自在に設計でき、プログラムした機能をコンピュータソフトウェアのようにインストールできる。

この技術は、分子コンピュータ/分子センサーを搭載した分子ロボットや薬剤送達等への応用が期待される。

研究成果は現地時間9月13日にドイツ化学会誌「Angewandte Chemie International Edition」のオンライン版で公開された。


<用語の解説>

■DNAオリガミとは :長い1本鎖DNA(主に7,000~8,000塩基)と多数の短い1本鎖DNA(数十塩基)から構成される、二次元・三次元のDNAナノ構造体。作りたい形状に合わせて、長い1本鎖DNAを一筆書き状に折りたたみ、相補となるように設計された短い1本鎖で固定することで、数十ナノメートルの構造体を作製できる。カリフォルニア工科大学のPaul Rothemund博士によって2006年に報告された。

■分子ロボット:外部から分子の信号を受信し、分子の計算によって判断を下すことで、その環境に対して自律的に反応する、感覚・知能・動作を併せ持つ人工的な分子システム。