2019年11月26日
理研と阪大「昆虫からサイズ進化の法則」を発見
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所、大阪大学

理化学研究所 生命機能科学研究センターの廣中謙一客員研究員、大阪大学大学院の藤本仰一准教授らの共同研究チームは25日、昆虫の種ごとの個体の最終的な体の大きさ(最終サイズ)を決める重要な要因が「性成熟の開始に必要な最低の大きさ(臨界サイずズ)」であることを明らかにしたと発表した。

今回、共同研究チームは、ショウジョウバエ属の9種を用いて、種ごとに異なる最終サイズ(体重)が、幼虫期において変態(著しく変化する)の引き金となる臨界サイズ(体重)に比例することを発見した。

観察された最終サイズと臨界サイズの変動パターンは、幼体組織と成体組織の最適な成長バランスを求める数学モデルで予測されたパターンとよく一致した。このことから臨界サイズへの到達がこれらのエネルギー配分を制御する「スイッチ」として機能していると考えられる。

これらの発見から「体サイズの進化は、臨界サイズの進化を通してしか起きない」という新たなシナリオが浮かび上がってきた。幼若期から最終成長期への発生過程と体のサイズの進化との関係を解明する手がかりとなる。

今後は昆虫以外でも、その生物に特有の生活史を組み込んだなエネルギー配分モデルを構築することで、生物のサイズの進化の普遍的な原理の発見が期待できる。

本研究成果は、米国のオンライン科学雑誌「iScience」(10月25日号)に掲載された。