2019年12月03日
住友化学、イスラエル社に出資 ヘルスケア事業創出
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:住友化学

住友化学は3日、イスラエルのスタートアップ企業で高精度の臭気検知IoTプラットフォームを有するナノセント社に2百万USドルを出資したと発表した。戦略的な技術連携を深め、新規ヘルスケア事業の創出に生かす。

ナノセント社は、テクニオン・イスラエル工科大学発のスタートアップで、ケミレジスタ(注)を搭載した臭気検知センサーと、検知したデータを活用するIoTプラットフォームを開発してきた。すでに、複数の臭気をリアルタイムで検知できるポータブルデバイスと、スマホなどの端末にこれらのデータ表示させる製品も完成している。

今後は、単純な臭気の検知だけでなく、検知した臭気パターンをAIアルゴリズムによって機械学習させ、体調変化のような複雑な状態が見分けられるようになる可能性もある。

住友化学はナノセント社との連携により、次世代ヘルスケアプラットフォームの鍵となる「体調可視化」の実現をめざす。排泄物の臭気データから体調変化や病気の兆候を読み取り、その日の体調にあった食事や生活環境を提案し健康管理に役立てる。いまその実証実験を計画中だ。

ナノセント社の技術は工場や街中での有害物質の検知・モニタリング、自動車内の臭気判定・管理など応い範囲にわたっている。このため同社への出資は次世代事業の創出につながると判断した。


<用語の解説>
■ケミレジスタとは :周辺の化学的環境(物質の吸着など)に応じて電気抵抗値が変化する材料で、さまざまな物質を検知するセンサーとして活用できる。一般にナノテクノロジー(物質を原子・分子レベルで制御し特徴的な素材を開発する技術)を活用した材料が用いられる。


ニュースリリース
https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1575347436.pdf