2019年12月09日
理研など「化合物と結合する標的タンパク質」解析
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

理化学研究所と微生物化学研究所の共同研究チームは6日、熱安定性の変化を見ることで化合物と結合するタンパク質(標的タンパク質)を探索する手法を構築したと発表した。この手法を用いて、抗がん活性を持つ化合物の標的タンパク質の候補を同定することに成功した。

この研究成果は、表現型スクリーニングから見いだされた生理活性化合物の標的タンパク質の同定と、その作用メカニズムの解明に貢献すると期待できる。

共同研究チームは今回、二次元電気泳動を用いたプロテオーム解析(タンパク質の構造や機能を網羅的に解析する手法のこと)により、化合物との結合によって熱安定性が変化するタンパク質を解析する手法「2DE-CETSA」を構築した。ヒトがん細胞株に対して細胞増殖阻害作用を持つ化合物NPD10084の標的タンパク質の候補として、解糖系(グルコースをピルビン酸や乳酸に異化する)の代謝酵素の一つである「PKM2」(ピルビン酸とATPを合成する酵素)を同定した。

研究の詳細は、米国の科学雑誌「Cell Chemical Biology」の掲載に先立ち、オンライン版(12月5日付)に掲載された。