2019年12月11日
東北大、電気分解によるグラフェン合成に世界初成功
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東北大学の本間 格教授(多元物質科学研究所)らは10日、電気分解によるグラフェン合成に世界で初めて成功したと発表した。 水素が同時生成できるメリットがある。

グラフェンは、エレクトロニクス部材、電池電極向けの導電助剤など様々な分野で実用化研究が進められている。だが、炭素原子を含む原料を分解し炭素原子を組み上げてグラフェンを合成するボトムアップ合成法は、CVD法 (化学的気相合成法)、SiC (シリコンカーバイド)分解法に限られている。

今回、電気分解法が発見されたことで、グラフェン合成に新たな選択肢が加わることになった。

この手法では、様々な有機物からグラフェンの合成ができる。グラフェンの形成と同時に水素を生成することから、太陽電池や風力発電等の再生可能電力を利用して、バイオマス資源などから、クリーンエネルギーの水素と、高機能性カーボンであるグラフェンを同時に製造する、経済性の高い“グリーン化学”プロセスの創出につながることも期待される。

研究は、日本学術振興会 科学研究費補助金 基盤研究A「炭素循環コプロダクション型水素製造システムの研究」による成果。

11月18日付で、Elsevier社の国際誌「Carbon」オンライン版に掲載された。



<用語の解説>
■グラフェンとは :グラファイト(黒鉛)結晶の単層分。炭素原子が蜂の巣状に6角形ネットワークを組んで2次元シートを形成している。高い電気伝導性、熱伝導性、機械的強度を有する。単原子層(単層)グラフェンが数層重なった多層のものもグラフェンと呼ばれている。