2019年12月12日
京大、パーキンソン病前駆期の動物モデル作製成功
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:京都大学

京都大学の高橋良輔教授(医学研究科)らの研究グループは11日、筑波大学、順天堂大学、京都府立医科大学と共同で、パーキンソン病(PD)前駆期のモデル動物の作製に成功したと発表した。

PDは、ドパミン神経の変性をきたす進行性の難病の一つで、日本には15~20万人の患者がいるとされる。治療には、ドパミンを補充するなどの対症療法はあるが、発症の予防や進行を抑えるといった根本的な治療法は見つかっていない。

PDは診断の時点でドパミン神経細胞が5割前後に減少しているため、発症前(前駆期)に病気を診断し治療を開始することが望ましい。そのためには、前駆状態を忠実に再現した動物モデルの開発が求められる。

研究グループは、PD患者に異常に蓄積しているタンパク質(αシヌクレイン)を、本来の発現部位で増加させた遺伝子改変マウスを作製した。嗅覚の低下や睡眠異常などのPDの前駆症状に続き、ドパミン神経細胞の減少が認められた。

この研究は、PDの発症予防や進行抑制を目的とした治療薬の開発に有効であり、PD発症前あるいはPDの早期発見への貢献が期待される。

本研究成果は、2019年12月10日に、国際学術誌「Brain」のオンライン版に掲載された。