2019年12月24日
理研、神経幹細胞の形を再生する仕組み発見
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理化学研究所(理研)は25日、生命機能科学研究センターの松崎文雄チームリーダーらの研究チームが、哺乳類の脳が作られる際に神経幹細胞が柔軟に「形」を再生する仕組みを発見したと発表した。

この研究成果は、脳が形作られる基本的な仕組みや、その形成不全に伴う脳疾患の原因解明に貢献すると期待できる。

脳の神経細胞(ニューロン)やグリア細胞を生み出す神経幹細胞は、非常に細長い柱状の細胞であり、発生途中の脳組織は、この柱が無数にひしめき合って構成されている。

今回、研究チームは多光子顕微鏡などを用いて、マウス胎仔の脳組織に存在する神経幹細胞の形状変化を鮮明に捉えることに成功し、神経幹細胞が柱状の形態を柔軟に再形成することを明らかにした。

この再生能により、脳発生初期に神経幹細胞が細胞分裂するとき柱状構造が分断されても、脳組織の細胞配置が保たれる。脳発生後期になると、この性質は失われ、柱状構造が分断された神経幹細胞が次第に蓄積していき、脳組織の中には別の神経幹細胞層が出現することも分かった。

この新たな幹細胞層の出現は、特にヒトのように大きくしわのある脳が形作られる際に見られる特徴であることが分かっており、今回の発見はその裏に潜む細胞の振る舞いを明らかにしたといえる。

本研究は、英国の科学雑誌「Nature Cell Biology」のオンライン版(日本時間12月24日)に掲載される。


ニュースリリース参照
https://www.riken.jp/press/2019/20191224_1/index.html