2020年01月10日
東北大、すい臓がん細胞の転移促進スイッチを発見
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:東北大学

すい臓がんは、がんの中で最も治療成績が不良な「最凶のがん」とされているが、東北大学大学院の五十嵐和彦教授(医学系)らの研究グループは10日、転写因子BACH1タンパク質がすい臓がんの転移に重要であることを発見したと発表した。

これまで、すい臓がんをはじめ多くのがんは、複数の遺伝子変異が組み合わさり細胞の増殖能が上昇して生じることが知られていたが、がん患者の治療経過を大きく左右するがんの転移については、遺伝子変異は関わらないとも報告されてきた。

しかし、がん細胞がどのように転移するのかの仕組みについては、まだ不明な点が多く残っている。

今回の研究で、転移能力が高いすい臓がん細胞では、転写因子BACH1タンパク質の働きが上昇していることを発見した。逆に、BACH1の働きを低下させることで、すい臓がん細胞の転移能力を低下させることも明らかになった。

さらに、BACH1の活性化状態がすい臓がん患者の治療経過の効果的な指標になることも見出した。
今後、新たな治療戦略の開発につながると期待される。

同研究の成果は1月9日(日本時間10日)に米国癌学会の学術誌「Cancer Research」オンライン版に発表された。


ニュースリリース参照
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2020/01/press20200110-02-BACH1.html