2020年01月29日
微化研など、タンパク質の分解の仕組み解明
【カテゴリー】:行政/団体
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微生物化学研究所の野田展生部長、山崎章徳博士研究員(東京工業大学特任助教)らは29日、オートファジーはタンパク質が液ー液相分離した液体状の会合体(液滴)を選択的に分離するのが得意な一方、凝集、固体化したタンパク質の分解は不得手であることを発見したと発表した。

研究グループは酵母Ape1タンパク質の選択的オートファジーをモデル系として用い、Ape1の脂質膜による隔離過程を試験管内で人為的に再構成することに成功した。

そしてApe1が液滴をつくった時にApe8タンパク質と受容体タンパク質の働きで効率的に脂質膜に隔離されること、一方で凝集、固体化したApe1では脂質膜に隔離されなくなることを明らかにした。

選択的オートファジーがタンパク質液滴の分解に長けている一方、タンパク凝集体の分解が不得手であるという今回の発見は、神経変性疾患の予防、治療薬の開発を進める上でオートファジーの活性化だけでは不十分であり、凝集体を液滴状態へと変化させる薬剤開発が重要であることを提起するのもとなる。

同研究成果は1月29日付(米国時間)に米国科学誌「Molecular Cell」のオンライン速報版で公開される