2020年03月03日
三井化・大牟田、100年以上活躍の「炭鉱電車」引退
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:三井化学
引退する炭鉱電車

三井化学は3日、大牟田工場(福岡県大牟田市)で原材料の搬入に使用してきた専用鉄道(旧三池炭鉱専用鉄道) を5月をめどに廃止すると発表した。廃線後に「ありがとう炭鉱電車プロジェクト」を開始する。

鉄道は1878(明治11)年、三池炭鉱の石炭を搬出するために敷設された馬車鉄道がはじまり。1891年(明治24)には蒸気機関車となり、1909(明治42)に三池港が開港すると電車になった。支線を含む総延長は約18.5Km。
1964年(昭和39)から72年(昭和48)までは地方鉄道として一般旅客の輸送も担い、地元では「炭鉱電車」の愛称で親しまれた。

1997年(平成9)の三井三池炭坑の閉山とともに多くの路線が廃線となったが、一部区間(1.8㎞)は三井化学専用線として、当時の車両とともに100年以上にわたり“現役”として活躍してきた。

「今は搬送する製品も量も少なくなり、一日に2往復だけです。JRから持ち込まれた硝酸を三池港に運び、船舶輸送に利用しています」と同社コーポレートコミュニケーション部。

工場の生産品目自体が大きく変わった。一時はコークス炉ガスを利用して化学肥料の「硫安」を大量生産したが、最近は農薬やウレタン原料、プラスチックレンズ原料などのファインケミカル製品が主体となりつつある。

同社は100年以上の炭鉱電車の歴史をレガシーとして後世に残そうと「ありがとう 炭鉱電車プロジェクト」に取り組む。今年6月にはラストランイベントも開催の予定。三池鉄道についてのエピソード募集やアーティストによる「音の資産記録化プロジェクト」なども計画中だ。


ありがとう 炭鉱電車プロジェクト」を開始します
https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file2_1583213767.pdf

Mitsui Chemicals Launches Farewell Project for Coal Railway
https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file3_1583213767.pdf