2020年03月13日
東北大など調査、地球温暖化と北アルプスの降雪量
【カテゴリー】:環境/安全
【関連企業・団体】:東北大学

 気象研究所と東北大学、海洋研究開発機構などの研究グループはこのほど、高解像度の気候シミュレーションによって、地球温暖化に伴う中部山岳地域の将来の降雪の見通しを詳細に評価した結果、今世紀末の北アルプスの冬の降雪量は現在と比べて、雪が多く降る年はより多く、あまり降らない年はより少なくなる可能性があることが分かったと発表した。

 これまで、地球温暖化の進行とともに、ひと冬全体としての降雪量は減少する一方で、中部山岳地域や北陸の内陸部、北海道では短期間に降る稀な大雪の量が増加すると予測されていた。

 今回、研究グループは、将来の気候状態を対象に、水平分解能1km という中部山岳地域の複雑な地形を再現できる超高解像度の予測計算を行った。その結果、雪の多い北アルプスでは、今世紀末(工業化以降の世界平均気温が4度上昇した気候状態を想定)、12月後半から2月前半にかけての降雪量が現在よりも多くなる年がある一方、冬の降雪量が現在より少なくなる年もある可能性が示された。

 このことから、地球温暖化が進行すると、北アルプスの冬の降雪量は現在よりも極端化し、雪が多く降る年はより多く、あまり降らない年はより少なくなる可能性があることが示唆された。

 今回の研究成果は、豪雪に伴う雪崩等の雪害の観点だけでなく、北アルプスの水資源管理や生態系の研究にも関連するものであり、今後、雪の多い北アルプス周辺自治体の気候変動適応計画の策定等に貢献できるとしている。

 同成果は3月11日付で日本地球惑星科学連合の国際誌「Progress in Earthand Planetary Science」に掲載された。


ニュースリリース
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20200311_02web_snow.pdf