2020年03月18日
住友化と京大、固体型電池実用化へ「共同講座」
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 住友化学と京都大学は18日、次世代二次電池として注目されている固体型電池の実用化に向けた材料および要素技術の開発を共同で行うことで合意したと発表した。

 2020年4月1日付で、京都大学桂キャンパス(京都市西京区)内に、ラボスケールの製造設備、電池性能評価装置などを新設し、京大大学院工学研究科(安部武志教授)の研究グループと産学共同講座を開設する。

 固体型電池は、従来型のリチウムイオン二次電池に用いられている電解質を液体から固体にしたもので、可燃性の電解液を使わないため現在主流のリチウムイオン二次電池に比べて高い安全性を有する。また電池そのものの高容量化や長寿命化、繰り返しの急速充電が可能となるなどの特性をもっている。

 これらの特長を生かし、日常生活に不可欠な情報機器、ウェアラブル端末、医療用途などの民生用小型電池や、航続距離や充電時間の観点から高エネルギー密度および高出力特性が求められるEV用の次世代電池など、幅広い分野への応用が見込まれている。

 なお、講座名は「固体型電池システムデザイン」。工学研究科の安部教授を代表者として同研究科の陰山洋、大内誠両教授、同大院エネルギー科学研究科の松本一彦准教授らが講座に参画する。

◆京都大学・安部武志教授の話 :
 「固体型電池は究極の電池の姿ではありますが、活物質―固体電解質界面の高い抵抗などの課題が多いため、いまだ自動車用途など中・大型電池では量産化されておりません。本講座では、このような高い山を乗り越えるべく、固体型電池のさらなる発展系として、他に類を見ない尖った材料開発を目指し、正負極材料、固体電解質、界面を構成する部材などを基礎的に調べるため、無機、有機、高分子、電気化学、計算化学の英知を結集します。産学で徹底的に深く議論し、ナノ界面現象を明らかにし、固体型電池システムを最適にデザインし、安全性と高エネルギー密度を両立させた新規な固体型電池の構築を目指します」