2020年03月25日
富士フィルム、リポソーム製剤の開発・製造を開始
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:富士フイルム

富士フィルムは、25日から薬剤を患部に届けるドラッグ・デリバリー・システム(DDS)技術を応用したリポソーム製剤の開発・製造受託サービスを開始した。また、対象を低分子医薬品だけでなく、次世代医薬品である核酸医薬品にも広げるため、3月16日付でカナダのPrecision NanoSystems Inc.(PNI社)とパートナーシップ契約を締結した。

リポソーム製剤とは、細胞膜や生体膜の構成成分である有機物のリン脂質などをカプセル状にした微粒子(リポソーム)の中に薬剤を内包した製剤のこと。生体内の血中での薬剤の安定性を向上させ、さらにリポソームの素材を工夫することで細胞膜を透過させ薬剤を効率的に届けることが期待できるため、低分子医薬品のみならず核酸医薬品への応用研究が進んでいる。

同社は、これまでの高度なナノ分散技術や解析技術、プロセス技術を活かして、既存抗がん剤を均一な大きさのリポソームに安定的に内包する製法を確立。現在、この技術を応用したリポソーム製剤の臨床第1相試験を米国で進めている。

また、富士フイルム富山化学では、国内初となる商業生産に対応したリポソーム製剤工場「701工場」(日・米・欧のGMP基準対応)を建設し、本年2月に稼働させた。

同社は引き続き、独自のリポソーム製法や「701工場」を活かして、低分子医薬品を対象としたリポソーム製剤の生産プロセス開発や製造の受託を積極的に行っていく方針だ。


ニュースリリース
https://www.fujifilm.com/jp/ja/news/list/3160