2020年03月26日
工繊大など「抗肥満薬が黄色ブドウ球菌の活性を阻害」
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

 京都工芸繊維大学の北所健悟准教授(分子化学系)らの研究グループは26日、大阪府立大学、京都大学、理化学研究所などとの共同研究により、黄色ブドウ球菌が産生する病原因子の1つである「リパーゼ(SAL)」の立体構造をX線構造解析法を用いて、世界で初めて解明したと発表した。

 また、抗肥満薬として市販されているヒトリパーゼ阻害剤「オルリスタット」が既存のSAL阻害剤よりも200倍以上SALの活性を阻害することを発見した。更に、SALとオルリスタットとの複合体の構造を原子レベルで解析することによって、オルリスタットによる阻害のメカニズムを解明することに成功した。

 この研究成果は、構造情報を元にしたSALに対する薬剤の理論的な開発に役立つと考えられ、より有効性が高く副作用の少ない治療薬の探索・設計が可能になると期待される。

 特に、SALが黄色ブドウ球菌の増殖に関与していることから、既存の抗菌薬の効かないMRSA感染症や、黄色ブドウ球菌によって引き起こされるアトピー性皮膚炎などの治療薬の今後の発展が期待される。


ニュースリリース
https://www.riken.jp/press/2020/20200326_1/index.html