2020年03月31日
新国際資源戦略「レアメタルのセキュリティ強化急務」
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:経済産業省

 経済産業省は30日、資源・燃料政策を取り巻く環境の大きな変化を踏まえて「新国際資源戦略」を策定した。専門委員会の報告をもとにまとめた。この中で「資源の乏しいわが国には、エネルギーレジリェンス(復元力)向上に向けた、新しい戦略的な対応が求められる」とし、石油・LNG等と、レアメタル等の金属鉱物の2つをあげて、セキュリティ強化の必要性を説き、対応策への提言を行った。レアメタル編は要旨以下の通り。
 
 ◆レアメタル等の金属鉱物のセキュリティ強化(要旨)

【先端産業で重要性を増す、多様なレアメタル】
 レアメタルには34種類の鉱種が存在し、物理的・化学的特性や市場規模・価格・主要生産国等は多様。レアメタルは、xEV(電動車)やAI・IoT 等の脱炭素化社会における先端産業において、製品の高機能化を実現する上で重要な電池・モーター・半導体等の部品の生産に必要不可欠となっている。また、xEV 等の生産には電子部品や電線等に使う銅などのベースメタルも不可欠である。今後、欧米、中国や新興国との間で資源獲得競争の激化が見込まれ、安定供給の確保が一層重要な課題となる。

【寡占化の進展と需給ギャップの懸念】
 我が国の産業活動に重要な一部のレアメタルについては、xEV や再エネ機器等の普及、脱炭素化社会の実現に伴い今後も需要が増える見通し。コバルトの場合、将来的に需給ギャップが生じる可能性が指摘されており、我が国の鉱山開発企業の鉱山からのコバルト供給量が現状のままとすれば、世界的な需給逼迫の状況下で、その確保が極めて不安定化する懸念がある。

 しかし、コバルト鉱石生産の約6割はコンゴ民主共和国に偏在していることに加え、中流の製錬工程では中国が製錬能力の約6割を占めるなど、寡占化が進展している。他にもタングステン鉱石は9割以上、蛍石鉱石は6割以上が中国で生産されており、日本もその大宗を中国から輸入している。

 今後、レアアース需要の拡大が見込まれる一方で、未だに輸入の約6割を中国に依存しているリスクが改めて顕在化している。加えて輸入依存度の高い特定国、特定地域では感染症等が発生し障害が生じるといった事態も懸念されている。さらに銅でも、日本への最大供給国であるチリで政治的混乱が発生している。特定国による寡占化状況が日本のサプライチェーンに与える影響を踏まえた対応策を講じる必要がある。

【対応の方向性】

(1)鉱種ごとの戦略的な資源確保策の策定
 資源の偏在性、カントリーリスク、需要の見通し等の観点から鉱種ごとのリスクを定量的に把握して類型化するとともに、それぞれの特性を踏まえて重点を置くべき政策ツールを整理し、戦略的な資源確保策を推進する。

(2)供給源多角化の促進
 近年の情勢変化を踏まえ、上流権益確保の強化を図るため、金属鉱物の採掘事業と切り離された製錬所単独の案件や、探鉱案件から移行した開発案件などに関して、日本企業の事業参画機会の確保を支援する。

(3)備蓄制度の見直し等によるセキュリティ強化
 レアメタル備蓄制度について、現在はレアメタル34 鉱種のうち、産出国の政情や依存度、需要等を考慮して鉱種を選定した上で、短期的な供給途絶への備えとして、国内基準消費量の60日分(一部鉱種は30日)を備蓄目標日数としている。国内産業構造の変化や、レアメタルの重要性の増大、中国による寡占化などの情勢変化を踏まえ、備蓄制度の抜本的見直しが必要である。(以下略)


ニュースリリース
新国際資源戦略(経産省)
https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200330009/20200330009-1.pdf