2020年04月02日
理研、胃が免疫誘導にも重要なことを初めて解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

 理化学研究所 生命医科学研究センター粘膜システムの国際共同研究グループは2日、マウスの胃に、細菌感染に対して防御的に作用する免疫応答が存在することを発見したと発表した。

 この研究成果は、ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)感染時の胃における新たな免疫応答と、防御機構を明らかにしたもので、今後、免疫応答を人為的に誘導することで感染予防につながると期待できる。

 これまで、胃は主に食物を消化・殺菌する臓器とされ、免疫応答の要である腸管と比較して、免疫誘導への関与は低いと考えられてきた。

 今回、同研究グループは、これまで共生細菌の影響を受けないと考えられてきた2型自然リンパ球(ILC2)が、胃では細菌依存的であり、免疫グロブリンA(IgA)の産生を誘導して防御的に作用することを明らかにした。また、ピロリ菌感染マウスの解析により、ILC2がIgA誘導の要になっていることも明らかになり、免疫誘導である臓器として胃の重要性を初めて示した。

 同研究は、科学雑誌「Immunity」(4月14日号)掲載に先立ちオンライン版(日本時間4月2日)に掲載される。


<用語の解説>
◆自然リンパ球(ILCs) :自然リンパ球はリンパ球系に属する免疫細胞であり、ヘルパーT細胞と機能的に類似している。1型(ILC1)から3型(ILC3)までの大きく分けて3種のサブセットが存在し、それぞれ役割が異なる。
2型自然リンパ球(ILC2)は、IL-5やIL-13などのような2型のサイトカインを産生し、近年はアレルギーの発症に関与するほか、寄生虫感染からの防御にも重要な役割を果たしていることが知られている。