2020年04月07日
島津製など「百億年に一秒のずれ」時計、世界初開発
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:島津製作所

理化学研究所、東京大学の共同研究グループは7日、島津製作所と共同で「百億年に一秒のずれ」に相当するという、18桁の精度をもつ可搬型光格子時計の開発に世界で初めて成功したと発表した。

東京スカイツリーの地上階と地上450メートルの展望台に設置した2台の時計の進み方の違いを測定し、この結果を国土地理院が測定した標準差と比較することで、一般相対性理論を従来の衛星を使った実験に迫る精度で検証することに成功した。

原子時計を人工衛星やロケットに搭載して、宇宙空間と地表の間で約1万キロメートルの高低差をつけることで測定された従来の宇宙実験に比べて、今回開発した可搬型光格子時計を使えば、1万倍以上少ない高低差で、同等の実験が可能になる。

一般相対論的効果は「宇宙スケール」の現象として議論されてきたが、18桁精度の原子時計では、わずか数センチメートルの「日常的なスケール」の高さの違いで時間の遅れが観測できる。

光格子時計の社会実装に向けた大きな一歩となるもので、今後、プレート運動や火山活動などに伴う地殻変動の監視など相対論的センシング技術の実用化が期待される。

同研究成果は、2020年4月6日(英国時間)発行の英国科学誌「Nature Photonics」に掲載される。