2020年04月21日
旭化成など、アルコール濃度「におい」で可視化
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:旭化成

 旭化成は21日、清酒の「におい」データから、アルコール度数を推定・可視化する実証実験を行うと発表した。清酒メーカーの吉乃川(本社:新潟県長岡市、峰政 祐己社長)、(国研)物質・材料研究機構(NIMS)、NTT東日本新潟支店と共同で、ICT(情報通信技術)を活用して実施する。

 吉乃川では、高品質な清酒を製造するため、発酵過程で温度やアルコール度数などを計測する一方、発酵具合の確認には、熟練者の「におい」に多くを頼っている。しかし、毎日の発酵状態を細かく、効率的かつ衛生的に把握・分析する方法も模索してきた。

 旭化成とNIMSは、「におい」をデータ化するMSS(膜型表面応力センサー)を用いた嗅覚IoTセンサーを開発し、社会実装に向けて実証実験を進めてきた。NTT東日本は、地域のICT活用を手がけている。こうして各社が連携して清酒製造における「におい」データの収集・分析と有効性確認の実証実験を行ってきた。

◆実証実験の内容と展望

 清酒を発酵させるタンクの上部に「におい」センサーを取り付け、24時間タンク内の「におい」を収集し、データ化する。その「におい」データを分析することでアルコール度数を推定し可視化する。「におい」データの状況およびアルコール度数は、通信ネットワークを通じて遠隔地でも確認できるようにし、作業効率化と品質の安定化を図る。次に、取得した「におい」データから、アルコール度数以外の各種成分の含有状況や、発酵時の「におい」の変化等を分析し、清酒の発酵具合や品質のモニタリング、その他「におい」データから提供できる価値を検証する取り組みも、併せて実施する。
 今後は「におい」データに含まれる様々な情報を分析し、「におい」データの意味や価値、今後活用できる業務等を共同で検証する。
 

ニュースリリース
https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1587441323.pdf