2002年03月19日
使用電力60%削減、か性ソーダ新製法
新化学発展協会がガス拡散電極技術を開発
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:TDK、旭化成、旭硝子、ダイソー、東亞合成、東ソー、トクヤマ、三井化学、NEDO

 ガス拡散電極は燃料電池用の電極として知られているが、これを食塩電解技術に応用したところ、か性ソーダ1トン当たりの使用電力の原単位が在来法の60%弱、二酸化炭素が同じく60%弱に減少したということが実証プラントで証明された。
 
 これは社団法人・新化学発展協会(東京・神田駿河台、03-5283-7065)が経産省と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の資金協力をえて開発したもので、4~5年後をメドに実用化が進められる見通し。
 
 大幅な省エネルギーが実現するほか、二酸化炭素の削減によって環境保全にも役立つという世界でも例のない技術であり、内外の注目を集めている。
 
 従来型のイオン交換膜法食塩電解技術では塩素、か性ソーダおよび水素が生成する。水素の生成は理論的には、有効エネルギー(エクセルギー)的な基準で測ると分解電圧の56%を占めることになる。
 
 このため、エネルギー使用面からみると水素を併産せず、塩素とか性ソーダだけを生産する食塩電解の方がのぞましいわけである。これにこたえるプロセスが「ガス拡散電極法」。陰極(ニッケル)で酸素の還元反応を行わせ、この際、水素を発生させない分だけ、電力の使用量が削減できる仕組みとなる。
 
 電解槽はガス拡散電極を用いて、ガス拡散層側にガス室を設け、酸素または空気を送る。ガス室の反対側に純水を流し、イオン交換膜をへだてて陽極(チタン)側で飽和塩水を流すという三室法である。
 
 従来法では、か性ソーダ1トン当たり2,533KWH の電力を使用したのに対し1,505KWH 、二酸化炭素1トン当たり760Kg に対し452Kg (炭素換算)と成ることが実証された。
 
 わが国では年間400万トンていどのか性ソーダが生産されているが、かりに200トンをガス拡散電極法に転換すれば2,056,000MWH の電力、二酸化炭素60万トンが削減される。
 
 新化学発展協会は1987年ごろから同技術の研究をはじめ、1999年に工業化に着手した。目下、NEDOの援助によって実証プラントによる技術の確立を急いでいるが、来年3月までに完了する予定。
 
 また、山梨大、クロリンエンジニアズ、田中貴金属、TDK、日本重化学、ペルメレック電極、旭化成、旭硝子、鐘淵化学、ダイソー、東亞合成、東ソー、トクヤマ、三井化学の各社が協力している。