2020年05月26日
北大など、20分で抗体検出 小型・高性能装置開発
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:北海道大学

北海道大学、帯広畜産大学、東北大学などの研究グループは、抗体検査のようなバイオ検査を現場で迅速に実施できる検査装置を開発したと発表した。鳥インフルエンザウイルスの場合、20分以内に抗体を検出できることを実証した。

鳥インフルエンザウイルスのような伝播性が高い病原体の感染防御には、感染が疑われた鳥を直ちに検査することが必要です。一般的には、ウイルスの遺伝子を検出するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法が用いられるが、検査室でしか実施できず、手間と時間がかかっていた。ほかに感染した動物の体内で産生される抗体を検出する抗体検査も用いられるが、現場で利用できる反面、判定誤差が生じやすい問題があった。

研究グループは、これらの問題を解決するため現場で簡便に高精度な検査ができる装置とそれに必要となる特殊な試薬を開発した。同装置は、従来からある蛍光偏光免疫分析法(FPIA)を原理としながら、液晶素子、イメージセンサー、マイクロ流路チップからなる独自の機構を組み込むことで小型化とポータブル化に成功した。また、多数の検体を同時に測定することが可能で、検体量もわずか2μLと大幅に低減した。

同装置は、現在世界的に流行している新型コロナウイルス感染者の抗体検査にも応用できる。持ち運びも可能なため、検査現場での有力な技術になると期待される。

なお、本研究成果は「Sensors and Actuators B: Chemical」誌(4月21日付)に掲載された。


ニュースリリース
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2020/05/press20200520-01-bird.html