2020年06月04日
富士フイルム 再生医療VB リジェネフロ社へ出資
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:富士フイルム

富士フイルムは4日、iPS細胞を用いて腎疾患の治療を目指す再生医療ベンチャーのリジェネフロ(本社:京都市左京区、石切山俊博社長)の第三者割当増資を引き受け、同社に1億円出資したと発表した。また、同社が進める再生医療製品の開発・製造受託、販売に関する業務提携契約も締結した。

腎臓は、一度その機能が失われると回復せず腎不全などの疾患を起こす。現在、腎疾患に対する根本的な治療法は確立されておらず、人工透析や腎臓移植治療が行われているが、患者の身体的・経済的負担が大きい。

こうした中、新たな治療手段として、腎臓の修復や再構築が期待できるネフロン前駆細胞の応用が注目されているが、ネフロン前駆細胞は、ヒトでは出生前に消失するため、確保することが困難という課題がある。

リジェネフロ社は、京都大学発の再生医療ベンチャーで、iPS細胞を用いた腎疾患の治療法を確立することを目的に設立された。長船健二・京大教授が開発した、iPS細胞からネフロン前駆細胞への高効率な分化誘導技術を用いてネフロン前駆細胞を安定的に作製することに成功しており、現在、同細胞を用いて、腎疾患の再生医療製品の研究開発を進めている。

富士フイルムは今回、リジェネフロ社が有するiPS細胞由来ネフロン前駆細胞の作製技術・ノウハウへのアクセス、同社との連携強化によるビジネス拡大を図るため、同社に出資した。また、リジェネフロ社が研究開発を進める再生医療製品の開発・製造受託と創薬支援用細胞の販売に関する優先交渉権を獲得した。


<用語の解説>
◆ネフロン前駆細胞 : 腎臓前駆細胞の一種で胎児期の腎臓に存在する。尿の濾過機能をもつ糸球体や、尿の再吸収を行う尿細管へと分化し、ヒトでは出生前に消失する。
◆腎臓オルガノイド : 試験管内で分化誘導した、腎機能をもつ組織のこと。

<ニュースリリース参照>
https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1591249405.pdf