2020年06月08日
東北大「水素が金属に与える影響を“見る”手法」開発
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東北大学 金属材料研究所の小山元道准教授らは8日、電子顕微鏡(SEM)を用いて、水素が金属の内部構造に影響を与えている様子の経時変化をナノスケールで観察する手法を開発したと発表した。

水素は金属を弱くするが、特に高強度金属は水素の影響が顕著。例えば、金属部材が水素ガスに曝されると、水素原子が金属中に侵入し、金属が壊れやすくなり、水素エネルギー社会のインフラ用構造材料に高強度金属を応用するときのボトルネックとなる。このため、水素が金属を壊れやすくするメカニズムの解明が求められている。

このメカニズム解明を阻む原因の一つに“見る”ことの難しさがある。水素は最小の原子なので、金属中で動き回り、ときには金属の外に飛び出す。このため、水素の動きに合わせて、刻一刻と変化する金属の“内部構造”を、“ナノスケール”で“時間”を気にしながら見る必要がある。

今回、研究チームは、電子チャネリングコントラストイメージング法という手法を用いて、水素添加した金属の内部構造の経時変化をナノスケールで見ることに成功した。他の手法と比べて対象とする試料形状の制約が小さいため、様々な形状の金属片中および負荷環境での水素の影響を見ることができる。
今後、より高強度で水素に強い材料を開発するための研究等に寄与すると期待される。

研究の詳細は「Science Advances」に6月5日(米国時間)掲載された。


ニュースリリース参照
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20200604_02web_hydrogen.pdf