2020年06月24日
北大、「うっ血」症状を高精度に診断・世界初
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:北海道大学

北海道大学 循環器内科の安斉俊久教授らの研究グループは、心不全の病態の一つである「うっ血」(右心房圧の上昇)を、肝硬変の評価などに用いられる磁気共鳴肝臓エラストグラフィーにより、非侵襲的かつ高い精度で評価できることを世界で初めて証明したと発表した。

正確な右心房圧上昇の評価は、心不全診療に重要な役割を担う。これにはカテーテル検査が必要だが侵襲性が高く、出血や感染症など合併症の懸念がある。

今回、心不全患者にカテーテルを用いない新たな非侵襲的右心房圧推定法として、磁気共鳴肝臓エラストグラフィーで測定した肝硬度の有用性を検討した。108名の患者に対して、右心カテーテル検査、磁気共鳴肝臓エラストグラフィー、超音波肝臓エラストグラフィー、心エコー検査を実施した。

右心カテーテル検査で測定された右心房圧と、磁気共鳴エラストグラフィーで測定された肝硬度の相関関係を調べたところ、両者が相関していることがわかった。また、磁気共鳴エラストグラフィーで測定した肝硬度、超音波エラストグラフィーで測定された肝硬度、心エコー検査で測定された下大静脈径の比較では、磁気共鳴エラストグラフィーで測定された肝硬度は最も高い精度で右心房圧高値を予測できることもわかった。

磁気共鳴肝臓エラストグラフィーは、カテーテルを用いた侵襲的な検査をしなくても、安全・正確に心不全患者のうっ血評価を行うことができると示唆された。今後の心不全診療に有用な検査となる可能性がある。

同研究成果は6月17日付の米国心臓病学会誌「JACC: Cardiovascular Imaging」誌にオンライン掲載された。