2020年07月06日

北大、30年前の動画から深海性甲殻類の生態解明

【カテゴリー】：ファインケミカル 【関連企業・団体】：北海道大学

北海道大学大学院の角井敬知講師、（国研）海洋研究開発機構（JAMSTEC）の藤原義弘上席研究員らの研究グループは6日、約30年前に撮影された動画を活用して、世界初となる深海性タナイス目甲殻類の自然環境下での行動を明らかにしたと発表した。 1992年に有人潜水調査船「しんかい 6500」が沖縄島東方の水深6,446～6,447mで撮影した3個体のタナイスが解明のきっかけ。 この形態情報から動画は、Gigantapseudes(ギガンタプセウデス)属に属する世界最大種「エンマノタナイス」か、その近縁種と判断された。 どの個体も海底表面をゆっくり歩いており、1個体については海底に開いた穴に侵入する様子も観察された。 このことから、基本的には海底表面を歩いて生活する表在性動物だが、時に隠れ家として穴も用いる種と判断された。 観察された3個体は両手をあげるように、第4番目の脚を常に海底から持ち上げていた。Gigantapseudes属に属するタナイスの第4番目の脚は、他の脚とは大きく形が異なることが知られている。これらのことから、本種の第4番目の脚は、化学物質受容や姿勢制御など、歩行以外の目的に用いられている可能性が考えられる。 同研究成果は、7月2日公開の「Zoological Science誌」（オンライン公開）に掲載された。