2020年07月08日

北大・茨城県沖に太古・巨大油ガス田存在か

【カテゴリー】：行政/団体 【関連企業・団体】：北海道大学

北海道大学 大学院の鈴木徳行名誉教授（理学研究所）らの研究チームは8日、茨城県 北茨城市の五浦(いづら)海岸周辺に広く分布する炭酸塩コンクリーション（主に方解石CaCO3）について、地下深部の油ガス田から流出した天然ガスが嫌気的メタン酸化アーキアの活動によって化学変化し、形成されたものだと発表した。 五浦海岸は大小の入り江をもつ景勝地。同発表によると、日本列島の移動に伴う地殻変動により約1,650万年前に海底下深部の油ガス田に亀裂が発生した。それによって天然ガスの大規模な海底湧出が始まり，数万年間断続的に継続した。五浦炭酸塩コンクリーションを構成する炭酸塩の体積は少なくとも600万m3以上と推定される。 炭素同位体組成から，炭酸塩炭素のほとんどは天然ガス由来と考えられ、現存する炭酸塩は約73億m3のメタンガスに対応する。風化侵食された炭酸塩があり、海底に湧出した天然ガスの一部だけが炭酸塩を形成するのため、実際に流失した天然ガス量ははるかに大量となる。 これは、五浦地域に巨大ガス田（可採埋蔵量950億m3以上のガス田）に匹敵する油ガス田が存在していたことを示す。このように、五浦地域の類い稀な「ジオヒストリー」によって、世界最大級の層状炭酸塩コンクリーションが形成された。この五浦油ガス田には、原油も存在していたと考えられる。 日本初の油ガス田の存在が明らかになるのではと、今後の資源探査の進展が期待される。 なお，同研究成果は5月15日付の国際学術誌「Marine and Petroleum Geology誌」にオンライン公開された。紙媒体は7月14日に発行予定。