2020年07月10日

北大・山梨大「下水中のコロナウイルス調査 重要」

【カテゴリー】：ファインケミカル 【関連企業・団体】：北海道大学

北海道大学 大学院の北島正章助教と山梨大学大学院の原本英司教授らの国際共同研究グループは10日、新型コロナウイルス（COVID-19）の流行状況を把握する上で下水疫学調査の重要性を提唱するとともに、下水等の環境試料中における新型コロナウイルスの実態調査を行い、その成果の一部として豪州・連邦科学産業研究機構と共同で複数のウイルス濃縮法による下水中のコロナウイルスの回収率を比較測定したと発表した。 COVID-19の感染拡大防止策の一つとして、下水疫学調査の重要性は認識されてきた。だが既存の下水中ウイルス濃縮法は、エンベロープ（脂質と糖タンパクからなる被膜）を持たない腸管系ウイルス（ノロウイルス等）に対して開発・適用されてきたため、エンベロープを有する新型コロナウイルスに対する有効性を評価する必要がある。 今回の研究は、新型コロナウイルスに近縁なマウス肝炎ウイルスを未処理下水に添加し，7種類のウイルス濃縮法による回収率を逆転写定量PCR法により評価した。さらにウイルス回収率、操作性、汎用性等の観点から各ウイルス濃縮法の利点及び欠点を体系的に整理した。 今後、同研究に基づき、下水中の新型コロナウイルスの検出手法が整備され、国内外におけるCOVID-19の下水疫学に関する調査研究が加速することが期待される。 同研究成果は6月5日公開の「Science of the Total Environment誌」（オンライン版）に掲載された。