2020年08月06日
理研、熱帯作物「キャッサバ」形成メカニズム解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

理化学研究所 植物ゲノム発現研究チームの関原明チームリーダーらのグループは5日、熱帯作物であるキャッサバの塊根の形成メカニズムを解明したと発表した。

キャッサバの塊根中で合成されるデンプンは、世界の5~10億人の食糧源・エネルギー源となっており、食糧安全保障および産業利用上、重要な作物となっている。持続的な食糧生産を維持するためには、塊根が形成される過程の分子メカニズムを理解する必要がある。

今回、研究グループは、理研のオミックス解析技術を用いて、キャッサバ塊根について植物ホルモンの一斉分析、代謝物一斉分析、網羅的な遺伝子発現解析を行い、その結果、塊根の形成には植物ホルモンのオーキシンとサイトカイニンが主要な役割を担うことが分かった。

また、ジャスモン酸がオーキシンとサイトカイニンの作用を、アブシジン酸が糖代謝経路をそれぞれ抑制することで、塊根の形成を阻害していることが明らかになった。同研究成果は、キャッサバの生産性向上に向けた有用な知見になると期待できる。

同研究は、科学雑誌「Plant Molecular Biology」のオンライン版(8月5日)に掲載される。


<用語の解説>
◆オミックス解析技術 :生物に存在する分子全体を網羅的に解析する方法。トランスクリプトーム(全転写産物の集合)、植物ホルモノーム(植物ホルモンの集合)、メタボローム(全代謝産物の集合)などの方法がある。