2020年08月20日
東北大、超伝導体の電流を光で操ることに成功
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 東北大学大学院理学研究科の岩井伸一郎教授、川上洋平助教らのグループは19日、有機超伝導体に極めて時間幅の短い光パルスを照射した瞬間、向きの定まった電流が生じることを発見したと発表した。超伝導体の電流を光で操ることに成功した。

 ペタ(千兆)ヘルツの超高周波電場である光は、現在のギガ(10億)ヘルツ駆動エレクトロニクスを飛躍的に高速化(高周波化)するポテンシャルを秘めている。しかし、振動電場である光によって、電子回路の基本動作である電流を一方向へ流すこと(電子を動かす方向を決めること)はできなかった。

 岩井教授らのグループは今回、有機超伝導体に極めて時間幅の短い光パルスを照射した瞬間、向きの定まった電流が生じることを発見した。

 この結果は、オームの法則に従わない電子の加速が超伝導体中で起きていることを示している。今後、銅酸化物や鉄ヒ素化合物などの高温超伝導の機構解明や、ペタヘルツデバイスへの応用に役立つことが期待される。

 銅酸化物や鉄ヒ素化合物などの高温超伝導体への展開により、室温近傍で現在の1万倍の超高周波(ペタへルツ)電子回路の可能性が開かれると期待される。

 同研究成果は、英国科学雑誌「Nature Communications」に8月18日(日本時間)にオンライン掲載された。


ニュースリリース参照
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2020/08/press20200819-01-peta.html