2020年08月27日
北大、レアアース分子からの強らせん発光 実現
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:北海道大学

 北海道大学 大学院工学研究院の北川裕一特任講師らの研究グループは26日,強い円偏光発光を示すプロペラ型レアアース分子の開発に成功したと発表した。

 発現する円偏光発光は通常光(太陽光や蛍光灯など)とは異なるらせん状の回転光で、次世代ディスプレイやセキュリティ材料への応用が期待されている。この円偏光発光はキラル構造を有するタンパク質でも観測されるが、強度が小さく、産業応用に用いることはこれまで困難だった。
 
 今回、高い円偏光回転強度と発光強度の両立に成功した。
 
 このプロペラ型レアアース分子は、高い円偏光回転強度(発光性タンパク質の約1,000倍)と、発光強度(従来キラルレアアースの10倍以上)を同時に達成する。この分子はガラス、ビニールなどさまざま物質に塗布できる。
 
 フレキシブル構造は透明な高密度集積を可能にし、次世代ディスプレイやセキュリティインクだけでなく、光情報通信など産業応用が可能だ。

同研究成果は8月25日公開の「Communications Chemistry誌」(Nature姉妹誌)に掲載された。