2020年09月02日
北大、神経膠芽腫の放射線治療抵抗性メカニズム 発見
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:北海道大学

北海道大学 大学院医学研究院の小野寺康仁講師(放射線医学)らの研究グループは2日、神経膠芽腫の放射線治療抵抗性に関与する新たな分子メカニズムを明らかにしたと発表した。

研究グループは膠芽腫細胞の放射線照射に伴う遺伝子発現変動の解析を行った。細胞内小胞輸送を制御するRabファミリー低分子量Gタンパク質遺伝子に着目して比較解析したところ、分泌経路に関与するRab27bの発現が放射線照射によって特異的に亢進することを発見した。

また、このとき増殖因子の一つであるエピレギュリンの発現が、Rab27bと共に亢進して放射線治療抵抗性を促進することや、これらの遺伝子の発現亢進が患者の予後不良と相関していることを明らかにした。
さらに放射線照射による膠芽腫からのエピレギュリンの分泌はパラクライン効果によって周辺のがん細胞の増殖を促進することを見出した。

これらの研究成果は8月8日公開の「Neuro-Oncology Advances」誌にオンライン掲載された。