2020年09月04日
中部大など、植物にキノン化合物認識受容体を発見
【カテゴリー】:ファインケミカル
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理化学研究所と中部大学の共同研究チームは3日、植物にキノン化合物を認識する新しい受容体を発見したと発表した。

同研究成果は、穀物の収穫量を大幅に減らす寄生植物「ストライガ」の寄生機構の理解とその防除、および植物の免疫機構の解明に貢献すると期待できる。

ストライガなどのハマウツボ科の根寄生植物は、宿主植物の細胞壁由来のキノン化合物を認識することで寄生を開始する。しかし、寄生植物がどのようにキノン化合物を認識するのか、また、非寄生植物がキノン化合物を認識できるのかは不明だった。

今回、共同研究チームは、非寄生植物のシロイヌナズナを用いて、キノン化合物を認識できない変異体を単離し、全ゲノムシークエンス解析により原因遺伝子「CARD1」を同定した。

CARD1は受容体様キナーゼ(RLK)をコードしており、キノン化合物の認識に重要な役割を果たすと考えられる。また、CARD1変異体では病原菌に対する抵抗性が低下したことから、CARD1は植物免疫にも重要な因子であることが示された。寄生植物もキノン化合物を認識することが明らかになった。

研究は、科学雑誌「Nature」オンライン版(日本時間9月3日)に掲載された。


<用語の解説>
◆キノン化合物 :ベンゼン環から誘導され、二つのケトン構造(>C=O)を持つ環状の有機化合物。生物学的に重要な物質であり、ビタミンKが知られている。