2020年09月16日
産総研、岩に生きる微生物がセレン流出を防ぐ
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:産業技術総合研究所

産業技術総合研究所と太平洋セメントの研究グループは、トンネル掘削工事などで発生する岩塊中に生きた微生物が存在すること、また、それらが岩塊に自然に含まれる有害で処理困難な重金属類であるセレンを不溶化することを見いだしたと発表した。

トンネル掘削などで生じる岩塊の中でセレンの不溶化(還元)を担う微生物を発見した。

掘削で生じた岩塊(掘削ずり)に含まれる重金属類のセレンが、雨水などでイオン化して環境基準を超えた濃度で溶け出し、地下水などを汚染する恐れがあるため、汚染を防止するために環境にやさしいバイオレメディエーションの開発が求められている。

今回、研究グループは岩塊内にセレン還元微生物が生き延びて存在することを突き止めた。また、乳酸を栄養源として与えると、それらの微生物を活性化でき、効率的にセレンを不溶化できることを初めて発見した。

今回の成果により、今後、微生物を用いた新しい低環境負荷のセレン不溶化処理技術の開発、さらには地下水汚染防止につながることが期待される。

同成果の詳細は、9月13日(英国時間)、国際学術誌「Journal of Hazardous Materials」にオンライン掲載された。