2020年10月16日
「がんを進行させる小さな袋を放出する仕組み」解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

 大阪国際がんセンター(OICI)は、鹿児島大学、理化学研究所との共同研究で、がんの進行を引き起こす物質の入っているナノサイズの小さな袋(細胞外小胞=EV)を放出する仕組みを解明したと発表した。
 
 EVによるがんの進行のメカニズムの解明と、EVを標的としたがん治療法の開発に貢献すると考えられる。

 がんは、さまざまな物質の作用で増殖や転移がおこり、進行すると考えられてきた。
 近年、その物質が入っているEVが、がん細胞から全身にばらまかれることで、がんの増殖や転移が促進されることが明らかになり、このEVを抑え込むことががんの治療につながると期待されてる。

 EVには、大きさや成分が異なるいくつかの種類があり、なかでも、エクソソームというEVががんの増殖や転移と関連するといわれ、これまで研究の中心だった。

 一方、エクソソームとは別種のEV(非エクソソーム)もがんの進行に関わる物質を含んでいるが、これまで詳細な役割は分かっていなかった。

 今回、共同研究チームはがん細胞の小胞体において、タンパク質の構成成分であるアスパラギンというアミノ酸に糖鎖が付くことでエクソソームと異なるEVを選択的に作り出していることを突き止めた。
 
 この仕組みを利用することで、このEVの放出をコントロールすることができ、将来のがん治療への応用が期待できる。

同研究の成果は10月13日、米国の学術誌「Cell Reports」オンライン版に掲載された。


大阪国際がんセンター:ホームページ
https://www.riken.jp/press/2020/20201014_1/index.html