2020年10月16日
九大、体温付近での高効率な熱電変換を実現
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:九州大学

九州大学大学と東京大学の研究グループは、温度応答性のゲル粒子の相転移現象を利用することにより、室温付近で1℃の温度差を最大6.7 mVの電位差に変換する熱電変換材料の開発に成功したと発表した。

IoT革命により身の回りのあらゆるモノ・ヒトがリアルタイムに情報をやり取りする社会が実現しようとしている。このような社会では様々なセンサー・デバイスが体温や装置の排熱、地熱、太陽熱など身の回りのありふれたエネルギーを利用して自律的に駆動するシステムを構築することが必要である。

また、持続可能な社会の実現のためには、これまで廃棄されていた低温の排熱を回収し、電力等として効率的に使用するシステムの開発が重要となる。

これまでに様々な熱電変換材料が開発されてきたが、多くは室温付近の小さな温度差では大きな電位差を出力できないという問題があった。

研究グループは、最近、室温付近に相転移温度を有する温度応答性のゲル粒子電解質のpHが体温程度の僅かな温度変化で大きく変化することを発見した。

さらに、ゲル粒子の相転移によって引き起こされる電解質のpH変化をプロトン共役電子移動反応と組み合わせることで、小さな温度差を大きな電位差に変換することに成功した。

同材料を用いることにより、室温付近の1℃程度の温度差を6~7 mV程度の電位差に変換することが可能となる。

同研究成果は、9月30日に米国化学会誌「Journal of the American Chemical Society」で公開された。


九州大学ホームページ
https://www.kyushu-u.ac.jp/f/40879/20_10_14_02.pdf