2020年11月12日
ダイセル・北大、「こんにゃくセラミド」効果確認
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:ダイセル

 ダイセルは12日、北海道大学との共同研究によって、同社の機能性食品素材であるこんにゃく由来のセラミド「こんにゃくセラミド」の効果が確認できたと発表した。
 実験マウスを使い血液脳関門(Blood-brain barrier、BBB)を透過できることを確認した。

 北海道大学には、2016年4月に「次世代物質生命科学研究センター」内に産業創出講座を設置し、同社のこんにゃくセラミドが持つアルツハイマー病予防効果を研究してきた。その結果、五十嵐靖之招聘客員教授、湯山耕平特任准教授らと、こんにゃくセラミドの主要成分である植物性セラミドをマウスに血中投与した際、BBBを透過して脳内へ蓄積することを実証した。

 アルツハイマー病の発症は「アミロイドβペプチド」が脳内に過度に蓄積することが原因の一つとされる。「エクソソーム」という物質は、アミロイドβペプチドと結合し、これらを分解・除去することが明らかとなっている。こんにゃくセラミドは神経細胞のエクソソーム産生を促進し、アミロイドβペプチドの分解・除去する機能を増強する。それによって脳内のアミロイドβペプチド濃度が低下することで、短期記憶の改善効果があることが示されている。

 今回、これまで未解明だった、こんにゃくセラミドが体内吸収された後の植物性セラミドがBBBを透過して脳へ移行できるかどうかを明らかにするため、植物性セラミドのBBB透過性について培養細胞及びマウスを用いて研究し、その効果を確認した。

<用語の解説>
●血液脳関門(Blood-brain barrier:BBB)とは
血液脳関門には、血液と脳の間の物質移動を制御する機構があり、脳内へ透過できる物質を厳密に制御している。機能性食品素材が脳機能へ作用するためには、この血液脳関門(BBB)の透過が必要。

●アミロイドβペプチドとは
アミロイドs前駆体タンパク質から切断されて産生される約40アミノ酸からなる生理的ペプチド。アルツハイマー病は、このペプチドの過剰な蓄積が発症の引き金と考えられている。

●エクソソームとは
様々な種類の細胞から分泌される二重膜小胞。特定の分子を包み、細胞間で受け渡すキャリアーの役割を担っている。神経細胞由来エクソソームは、表面膜の糖脂質でアミロイドβペプチドを捕捉してグリア細胞に運搬することで、分解を促進させる。


<ニュースリリース参照>
https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1605168422.pdf