2020年11月19日
東レ、LiB用無孔セパレータ創出に成功
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:東レ

 東レは19日、リチウムイオン二次電池(LiB)用無孔セパレータの創出に成功したと発表した。同社は今後、このセパレータをウェアラブルデバイスやドローン、電気自動車(EV)向けなどの次世代向けに適用していく方針だ。

 LiBの需要は、携帯型電子機器、定置用蓄電池から、EVの普及拡大に伴う車載用途へ急拡大している。これに伴い、LiBには更なる高容量化・高エネルギー密度化が求められている。
 
 最も理論容量が高く、酸化還元電位が低い金属リチウム負極が注目されている。だが、金属リチウム負極は充電時に金属リチウム表面からリチウムデンドライトが成長し、セパレータを突き破りって正負極がショートするなどの危険性から、実用化に至っていない。

 リチウムデンドライトは、微多孔フィルムの空孔に沿って成長するため、セパレータの空孔をなくすことでデンドライトの成長を止めることができるが、リチウムイオンの透過性が悪化することから、リチウムデンドライト抑制とイオン伝導性の両立が不可欠となる。
 
 東レは今回、独自の高耐熱アラミドポリマー設計技術を生かし、分子鎖間の間隙やリチウムイオンとの親和性を制御することで、高いイオン伝導性と高耐熱性を有する新規イオン伝導性ポリマーを創出した。
 
 これをポリマー無孔層として微多孔セパレータ上に積層したリチウムイオン二次電池用無孔セパレータとすることで、金属リチウム負極使用電池におけるデンドライト抑制とイオン伝導性の両立を実現した。

 この金属リチウム負極電池は、デンドライトによるショートを抑制でき、充放電サイクル100回で80%以上の容量維持率をすでに確認済みだ。
 
 金属リチウム負極を用いた超高容量・高安全LiBをはじめとする次世代LiB分野への展開を目指し、早期の技術確立に向けて研究開発を加速する。

 同社は、同技術について、11月20日に開催される第61回電池討論会で発表する。


ニュースリリース参照
https://cs2.toray.co.jp/news/toray/newsrrs01.nsf/0/15D97627516F2F7849258624002BD6C6?open