2020年11月26日
奈良先端大など「根が重力方向に曲がる仕組み」解明
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 理化学研究所、奈良先端科学技術大学院大学、東京農工大学、岡山理科大学などの共同研究グループは25日、植物の根の重力屈性に寄与するオーキシン(植物ホルモン)の微量な前駆体である、インドール酪酸(IBA)の細胞内取り込み輸送体(膜タンパク質)を発見したと発表した。

 同研究は、土壌から水分や栄養分を獲得する器官である根の重力応答機構の一端を明らかにしたもので、今後、植物の生産機能の向上などに貢献すると期待できる。

 植物の根は重力を感じ取り、地中に向かって根を伸ばす。この現象は、植物ホルモンのオーキシンが根端(植物の根の先端部分の総称)の重力側に多く分布すること(不等分布)で誘導される。

 植物体内における主要なオーキシンはインドール酢酸(IAA)であり、そのほとんどはインドールピルビン酸から合成されるが、ごく少量はIBAからも合成される。

 今回、研究グループはIBAの細胞内取り込み輸送体として、シロイヌナズナの輸送体ファミリーを同定した。
ファミリーはNITRATE TRANSPORTER 1/PEPTIDE TRANSPORTER FAMILY (NPF)で、その一つである「NPF7.3」を新たに同定し、IBAから合成されるIAAが重力屈性に重要な役割を果たしていることを明らかにした。

同成果は「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America (PNAS)」オンライン版(11月20日付)に掲載された。