2020年12月03日
京大、種子を保護するネオリグナンの機構を解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
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 京都大学の山村正臣 生存圏研究所特任助教、梅澤俊明 同教授、理化学研究所の榊原圭子上級研究員らの研究グループは3日、シロイヌナズナの種子に含まれる「ネオリグナン」の生合成に必要な酵素とタンパク質を発見し、ネオリグナンが種皮の外来異物透過性を抑制することを明らかにしたと発表した。種子を保護するネオリグナンの生合成機構を解明した。

 ネオリグナンは植物に含まれる化合物群で、ヒトに有益な抗潰瘍性や抗菌活性などさまざまな生理活性を持っている。しかし、これまでネオグリナンの生合成経路や植物にとっての役割は不明だった。

 今回、研究グループは、シロイヌナズナの種子に存在するネオリグナンの詳細な化学構造を決定した。
 
 また、ネオリグナンの生合成に関わるディリジェントタンパク質と酸化酵素ラッカーゼの遺伝子を同定し、ネオリグナンの生合成経路を明らかにした。
 
 ネオリグナンが種皮の外来異物透過性を抑制したことから、ネオリグナンは植物の種子を乾燥や酸化、害虫や病原菌などの環境要因によるストレスから化学的に防御する役割を果たしていると考えられる。

 同研究成果は、新たな薬効成分の創出に向けたネオリグナンの代謝エンジニアリングに貢献すると期待できる。

 本研究成果は、2020年11月27日に、国際学術誌「The Plant Cell」のオンライン版に掲載された。


ニュースリリース参照
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2020-12-03-1